『池袋ウエストゲートパーク』

私的映画観
「漂いすぎる堤幸彦ワールド」

特に予定のなかった正月は自宅でゆっくりとネットフリクスとおいしいお酒に溺れようと決心していた。そんな私の目の前に1月1日公開の文字。正月の一気に見るにはこれほどちょうどいい作品はないだろう。最高のお年玉だ。

宮藤官九郎、通称クドカンの連続ドラマのデビュー作としても有名な本作。随所に遊び心を散りばめつつ、サスペンス要素も巧みに表現されていて終始目が離せない。世代の人にとっては、もはや説明する必要などないだろう。作中の遊び心はクドカンならではと納得させられる。

しかし、観ていると気がついてしまうだろう。この変な間やユニークすぎるワードチョイス。つい、TRICKやSPECを感じてしまう。そうなんだ、演出が堤幸彦なのだ・・・。一度気がつくと、もうデジャブのようにシーンが切り取られることだろう。贅沢すぎる裏方陣、キャスティングにTV全盛期のバブリーさを感じられる。TRICKやSPECを見たことがない人は、次にそっちを観て、ぜひ頷いてほしい(笑)。

I.W.G.P時代の池袋を知らない世代も増えてきているのかと、歳を重ねてゆくことをしみじみ感じながら過ごした正月だった。古めかしくて、あんまりと思った人にこそ一度見てほしい。20年前に製作されたとは思えないクオリティに驚くはず。

あ、ちなみにどこかに若き日の小栗旬も出演しているので探してみよう。

あらすじ

物語の舞台は東京・池袋ウエストゲートパーク。 主人公のマコト(長瀬智也)は、実家の果物店「真島フルーツ」の手伝いをしながら、池袋で起こる様々なトラブルに巻き込まれる日々を過ごしながら生活していく。 そんなある日、マコトの周りで女性ばかりを狙う連続殺人事件(ストラングラー事件)が起こり、知人であるリカの殺人事件の犯人として疑いをかけられてしまう。さまざまなトラブルを解決しつつ、リカを殺した犯人を探し出していく。

原作
石田 由良
脚本
宮藤 官九郎
監督・演出
堤 幸彦
出演
長瀬智也
加藤あい
窪塚洋介
山下智久
佐藤隆太
阿部サダヲ
坂口憲二
妻夫木聡
高橋一生
小雪
渡辺謙