『PERFECT DAYS』

日日是好日を東京で。

2023年に公開されたヴィム・ヴェンダース監督の最新作『PERFECT DAYS』をようやく観ることができた。作中の細かい部分のこだわりや、Tokyo Toiletについてはぜひポッドキャストでも話しているので、そちらを聞いてほしい。

作中では、何か特別なことが起きるわけでもない。役所広司の演じる無口なトイレ清掃員の平山の日常を、淡々と描いているだけだ。今回の作品は、日常の中にある景色や感動できるものをどれだけ見つけることができるのか。そして、そのポイントは人それぞれであることこそ重要だということを強く伝えてくれている。平山のトイレ掃除に対して一切妥協しないところや、他人からみるとどうでもいいような、毎日のルーティンがその景色を見るためには不可欠だったんだろう。

そして、変人に見えれど決して人としての矜持を捨てたわけではない描写が、誰にでも平山が見ている輝く景色を、得ることができるということも教えてくれている気がする。自分にしか分からないけど大切にしたいもの。これが見つかれば、自分が置かれている環境や悪条件なんて些細なものに感じるのだろうか。(筆者も模索中である。)

この作品のコンセプトを淡くも完璧に仕上げているのが、ヴィム・ヴェンダースとキャスト陣だ。役所広司のアドリブ込みの無口な演技や、柄本時生の心優しくも何もわかっていない現代若者感が、観るものの距離感を縮めているからこそ成立している作品だろう。そして、ヴィム。ヴェンダースの東京の撮り方だ。冷たく温かい東京の表現が、新鮮だが身近に感じてとても不思議な感覚になる。きっと、日本人が同じように撮ってもこの映画はできないだろう。自分が住んでいると人も多く、なんだか怖い人ばかりでネガティブな感情が生まれがちな東京だが見方を少し変えることでこんな楽しみ方、感じ方もできるのだと教えてくれる映画でもあった。

監督
ヴィム・ヴェンダース
出演
役所広司
柄本時生
アオイヤマダ
中野有紗
田中泯