『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』

スタイリッシュドラキュラ

季節も間も無く春。
春に見る映画は、何がいいのだろう。
恋愛、学園青春、コメディと少し明るいものを連想するだろうが個人的には生暖かいものがおすすめだ。

ジム・ジャームッシュ監督の2013年公開の映画が今の時期にふさわしい気がする。

あらすじ

職業はアングラミュージシャンの楽器とレコードだらけの部屋に住むアダム(トム・ヒドルストン)
そして、モロッコのタンジールで本に囲まれて住むアダムの恋人イブ(ティルダ・スウィントン)
この2人は吸血鬼である。

アダムが人間は環境と血を汚していくと憂うように、吸血鬼にとっては、生きずらい21世紀。

そんな高貴でいい意味で人間らしくない
2人の日々と周りの環境を映しだす。

私的映画観
「美演出と滅びの美学」

ジム・ジャームッシュの映画の世界観には、いつも憧れる。
この世界に自分がいたらどういう行動に言い回しをするか?

一見、退屈おしゃれ映画とされがちかもだが
その退屈さを違和感なく感じさせてくれるのは、セリフ、色、小物の全てがこだわってその世界観と合わさっているから。

そして、地味に投げかけられる環境問題。

400年生きてみるとわかる人間の衰退を、アダムと一緒にスキットルでウイスキーを飲みながら憂いたい。


うまくこの世界に入れれば、これを見た春の深夜はきっと今のコロナやどこかの国の戦争についても自分なりに考える時間ができるはずだ。


無論、各所に散りばめられた音楽ネタや映画ネタでもきっと血、いやお酒が進むに違いない。

監督
ジム・ジャームッシュ
出演
ティルダ・スウィントン
トム・ヒドルストン